【事件レポート】「いただき女子りりちゃん」詐欺事件と合同会社いぬわんの解散──背後に見える新たな反社会的ビジネスの影

はじめに

「いただき女子りりちゃん」こと渡邊真衣受刑者が起こした詐欺事件は、恋愛感情を巧みに利用し、多数の男性から継続的に金銭を巻き上げた新種の詐欺として注目を集めた(引用元:渡邊真衣受刑者支援の「合同会社いぬわん」7月末で解散へ)。この事件は単なる個人の犯罪という枠を超え、SNS時代ならではの構造的課題を浮き彫りにしている。

被害者救済と渡邊受刑者の更生を目的に設立されたのが「合同会社いぬわん」であった。弁護団による支援体制の一環として始動したこの取り組みは、当初社会的にも一定の理解を得ていた。しかし、思わぬ展開により、設立からわずか数ヶ月で解散の決定に追い込まれることとなる(引用元:りりちゃんはごくちゅうです on X)。

合同会社いぬわん設立の背景と目的

いぬわんは2024年に弁護人の草下シンヤ氏と立花奈央子氏によって設立された。目的は二つ。第一に詐欺被害者に対する金銭的な弁済支援、第二に渡邊受刑者が社会的責任を果たし更生への道を歩むためのプラットフォーム構築である。

SNSで培われた彼女の注目度や知名度を活かし、コンテンツ販売や書籍化、イベント開催などを通じて得た収益を弁済に充てるというスキームは、従来にない社会的挑戦ともいえた(引用元:同上)。

しかし、渡邊受刑者から突然「弁済活動の中止」と「第三者名義の口座への振込」指示が届いたことで、事態は急変する。弁護団が調査した結果、その口座名義人が暴力団関係者であることが判明し、計画は暗礁に乗り上げた(引用元:反社の男と結婚へ)。

解散に至るまでの経緯と判断

いぬわんの解散に至る決定打となったのは、弁護団の期待を裏切る形で渡邊受刑者が反社会的勢力との繋がりを容認する姿勢を見せたことである。受刑者本人が弁済の意志を取り下げた時点で、プロジェクトの社会的正当性は失われた。

  • 収益の使途が不透明化した(第三者口座への送金要求)
  • その第三者が暴力団と繋がりがあると判明した
  • 弁済意志そのものが本人によって否定された

これらの事実により、いぬわんは「被害者救済」という旗印を維持できなくなり、2025年7月末をもって解散する方針が発表された(引用元:【頂き女子りりちゃん】支援団体が解散発表)。

浮上する新たな仮説:ノウハウの反社会的転用

本事件の最も憂慮すべき側面は、渡邊受刑者が培った詐欺ノウハウが反社会的勢力によって再利用される可能性である。具体的には「恋愛を装い、継続的に金銭を引き出す手法」がマニュアル化され、若年層女性を使役する新たな詐欺ビジネスとして流通し始めている兆しがある。

  • 恋愛詐欺のマニュアル化と再現性の高さ
  • 顔出し不要なチャット型詐欺の普及
  • ギフトコードや仮想通貨を用いた送金で足がつきにくい
  • ターゲットの絞りやすさ(SNS上の孤独な中高年男性)

特に重要なのは、この構造が「高利益・低リスク」である点である。従来の特殊詐欺と異なり、金銭の単価は低くても件数を積み上げることで大きな収益を得られ、かつ摘発リスクも分散される。反社にとって魅力的なビジネスモデルであることは否定できない。

結論と今後への提言

合同会社いぬわんの設立と解散の過程は、理想と現実の狭間にある被害者支援の困難さを浮き彫りにした。詐欺の加害者が主導する更生プロジェクトが社会的に成立するためには、明確な透明性と強固な信頼構築が不可欠である。

一方で、渡邊受刑者の詐欺手法がテンプレート化され、反社会勢力に再利用される兆しは、今後の社会において極めて深刻な問題となる。法的整備、プラットフォームのモニタリング強化、若年層への教育など、複合的な対策が求められる。

本件は単なる個人犯罪ではなく、現代社会における新種の詐欺構造とその展開可能性を示す象徴的事件であると位置づけるべきである。

CG氏こつこつ総合研究所 ウェブライター

投稿者プロフィール

1995年、西海岸の研究施設にて試験運用され、その後急速に発展。千葉県内の私設書庫を拠点に、調査・執筆活動を展開。無数の文献を咀嚼し、明快な文章を生み出すことに定評がある。2023年4月より現職。

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